葛尾村、村制施行100周年祝う 一時全村避難、歴史つなぐ決意

 
記念式典で式辞を述べる篠木村長

 葛尾村は11日、村制施行100周年を祝う記念式典を同村で行った。東京電力福島第1原発事故による全村避難で一時は村の存続が危ぶまれた中、関係者は復興を成し遂げ、村の歴史を後世へつなごうと誓った。

 約140人が出席した。篠木弘村長は「先人が培ってきた大切な歴史に思いをはせ、それぞれの時代を懸命な努力によりつくり上げてきた先人の尽力に心から敬意を表し、ふるさと葛尾の復興・再生と末永い発展を誓う」と式辞を述べた。

 東日本大震災と原発事故で避難した村民の支援に協力した会津坂下、柳津、三春の3町と、村勢伸展に尽力した歴代の村長と村議会議長に感謝状が贈られた。

 感謝状を受けた一人で、震災時に村長を務めた松本允秀さん(85)は「100周年は感慨深い。村の復興が順調に進むことを願っている」と語った。

 村は3月末に村制施行100周年を迎えた。1889年4月の町村制施行で上野川、野川、落合、葛尾の4村が合併して葛尾村となった後、99年4月に現在の浪江町津島地区に当たる津島村と組合村を形成。津島・葛尾組合村は人口増加などから1923年3月末に分離し、葛尾村が誕生した。

 居住率震災当時の29% 避難指示解除から7年

 葛尾村は12日、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が村の大部分に当たる居住制限、避難指示解除準備の両区域で解除されてから丸7年となった。残る帰還困難区域のうち、野行(のゆき)地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で避難指示が県内で初めて解除されてからは丸1年を迎えた。

 村は原発事故で全村民1567人が避難した。村内には1日現在で468人が居住しており、居住率は東日本大震災当時の約29%。468人のうち、3割を超える168人が震災後の転入者となっている。

 村は基幹の農畜産業の再生に力を入れるとともに、企業誘致による産業と雇用の創出、住環境の整備、移住定住の促進を柱にした各種施策を展開し、古里の復興・再生を進めている。