「復興公営住宅」要件緩和 入居80%以下、一般県営住宅と同様に

 

 東京電力福島第1原発事故後に整備された県営復興公営住宅で入居率が低下している問題を巡り、県は10日、現在は被災者に限定している入居要件の緩和を正式に決めた。入居率が低い団地で一般県営住宅と同様の入居要件を追加し、入居率の改善とコミュニティーの形成を図る。県営復興住宅制度を見直す大きな節目となり、整備を保留していた123戸の建設を取りやめることも公表した。

 入居対象者は基本的に原発事故の避難者に限っていたが、10月からは「住宅に困窮している低額所得者」を加える。仮設住宅からの一定の転居需要も考慮し、要件を緩和する復興住宅は「募集月の前々月末時点で入居率80%以下」の団地に絞る。5月末時点では県営13団地が該当するという。

 3月までに県が整備した復興住宅は4389戸あり、帰還や住宅再建が進んだ結果、県営全体の入居率は84.7%(3月末現在)と空き戸が増加。避難元から離れた会津地方は72.4%と特に低下傾向が目立っていた。

 新生ふくしま復興推進本部会議を県庁で開き、方針を示した。内堀雅雄知事は「今後は復興住宅のコミュニティー形成が一層重要になる。入居者が安心して生活できる環境づくりに取り組んでほしい」と述べた。

 整備を中止する県営復興住宅123戸のうち、いわき市の2団地計72戸は造成工事を終えており、県は取り扱いを国と協議する。残る51戸は整備地が未定。これにより、県内の復興公営住宅の整備は全て完了する。