大熊「相馬流れ山踊り」13年ぶり復活 30日披露...住民心一つに

 
30日の本番に向け、踊りの練習に励む東海林会長(前列中央)ら会員たち=9日、大熊町

 相双地方の国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」(29~31日)で、大熊町相馬流れ山踊り保存会は30日、町内で13年ぶりに相馬流れ山踊りを披露する。大熊の野馬追は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で一時休止を余儀なくされたが、避難指示解除や住民帰還が進み、昨夏から町内で騎馬武者の凱旋(がいせん)行列が復活するなど、徐々に震災前の形を取り戻している。

 相馬流れ山は野馬追で歌われる相馬中村藩の国歌・軍歌とされ、踊り手は陣笠や陣羽織を身に着けて優美に舞う。大熊の保存会は震災後、避難先で行われた大熊町騎馬会の出陣式で踊りを披露してきたが、今回は古里に凱旋した騎馬武者の雄姿に花を添えようと、町内での踊りを復活させる。

 本番前最後のリハーサルが9日、同町大川原地区の交流施設linkる(リンクる)大熊で行われた。会津若松市や栃木県など県内外の避難先から会員13人が集まり、踊りを確認した。

 いわき市から駆けつけた東海林雅子会長(81)は「踊りを通じて震災でばらばらになってしまった町民の心を一つにし、大熊を盛り上げたい。凱旋する騎馬隊を出迎えたい」と話した。

 相馬流れ山踊りは30日午後3時半から、大熊町役場東側駐車場で披露される。凱旋行列は同4時から、町役場前の町道で行われる。(渡辺晃平)