楢葉・岩沢海水浴場で13年ぶりサーフィン大会

 
グランドマスタークラスの入賞者と笑顔を見せる遠藤さん(左から3人目)と吉田さん(同5人目)

 楢葉町の岩沢海水浴場で20日、東日本大震災から13年ぶりにサーフィン大会「岩沢サーフィンゲームス」が開催された。遠浅で入り組んだ湾の地形から良い波が立ち、多くのサーフィン愛好者が訪れていた地での大会復活の背景には、実行委員会を組織した地元サーファーたちの強い熱意があった。

 「震災後、もう福島ではサーフィンができないと思っていた。大会を開くことができて感無量です」。実行委員会の代表を務めた遠藤朗生さん(56)は、波に乗る大会当日のサーファーたちを見ながら語った。かつて岩沢海水浴場では「楢葉町長杯」のサーフィン大会が開かれていた。しかし、震災で地域全体が被害を受けて中断を余儀なくされた。

 遠藤さんによると、地域の復興が進む中で大会開催を望む声が高まっていたという。施設などの復旧工事が終わり、昨年夏に海水浴場が12年ぶりに海開きを迎えると、地元のサーファーを中心に準備を始めた。実行委員の吉田健太郎さん(37)もその一人で、「こんなに盛り上がるなんてうれしい。県外のサーフィン仲間とのつながりは変わっていなかった」と笑顔を見せた。大会には関東圏などから約200人が出場。スタッフや家族なども合わせると約400人が訪れ、震災前の町長杯の規模を上回った。

 各地から集まったサーファーがスピード感あふれる華麗な技を披露し、楢葉の海はにぎわいを見せた。浜通りのサーフィンの草創期から関わり今大会の顧問を務めた白土栄一さん(74)は「波も含めて全てが本当に最高だよ」と語った。(菅野篤司)