請戸小ピアノ...新たな息吹 浪江出身・吉田昂城さん「響き重厚」
浪江町の震災遺構「請戸小」のピアノを同町出身のピアニスト吉田昂城(こうき)さんが演奏するコンサートは26日、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で開かれた。さびにより劣化していた弦を張り替えた最初の演奏会で、吉田さんの入魂の調べが被災ピアノに新たな息吹を与えていた。日本ロータリー学友会の主催。
吉田さんは3歳からピアノを始め、早くから才能が注目されていた。震災と原発事故で避難を余儀なくされたが、ロータリークラブの被災地支援プロジェクトを活用してオーストリアを訪問。それが縁となってウィーン国立音楽大に進学し、ピアニストとして活動している。
コンサートは、吉田さんのようにロータリークラブの支援で海外に留学した経験のある人たちなどでつくる日本ロータリー学友会が本県で全国総会を開くことに合わせて企画された。伝承館にピアノを寄託していた浪江町は、ロータリー側からの提案を機に老朽化していたピアノの弦を新調して吉田さんを迎えた。
コンサートでは、吉田さんがベートーベンのピアノソナタ「悲愴(ひそう)」と「第31番」の2曲を情感たっぷりに演奏し、伝承館ホールに集まった聴衆を魅了した。現在は南相馬市を拠点とする吉田さんは「請戸小のピアノは重厚な響きが魅力。各地で被災したピアノの復活が行われているが、ピアノは弾いてこそ生きる。利活用を進めていってほしい」と述べた。
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