原発廃炉「自分事の意識を」 ふくしま浜通り会議、高校生が意見

 
廃炉などについて考えを発表した高校生ら

 東京電力福島第1原発事故を巡る問題を高校生の視点から議論する「ふくしま浜通り高校生会議2023」の報告会は8日、Jヴィレッジで開かれた。県内の高校生11人が廃炉などに関する考えを発表、廃炉を「自分事」と捉えて国民の合意形成を図る重要性を訴えた。

 NPO法人ハッピーロードネット(広野町)の主催。昨年10月から活動を始め、第1原発の視察や処理水の海洋放出を巡る関係者や官僚らとの討論などを通して考えを深めてきた。

 生徒らは3班に分かれて「廃炉の情報発信」「信頼関係の構築」「廃炉の未来」をテーマに発表。情報発信では、公表されている廃炉の完了時期や予算が現実的ではないとし「国民に不信感を与えている。信頼を寄せられる情報発信を」と求めた。

 信頼関係の構築では、廃炉をスムーズに進めるため東電・政府と国民との関係を重視。「情報発信、説明会、対話を地道に続けることが大事」とした上で「廃炉は全国で議論すべき問題で、当事者意識を持ってもらう工夫が必要」と指摘した。

 廃炉の未来では、60年後の祖父母と孫の会話を寸劇で披露した。廃炉作業が続き、廃棄物の行き場もなく、予算も巨額に膨らんで福島を苦しませているとの設定で、廃炉の遅れに関する質問について、祖父母に答えをはぐらかされた孫は「こんな大人になりたくない」「社会をつくるのは大人だけじゃない」と訴えた。

 報告会には政府や東電の関係者や住民ら約100人が参加。意見交換で、経済産業省福島原子力事故処理調整総括官の新居泰人氏は「信頼関係の話があった。個人的には考えを言いたいが、立場があり責任をもって答えなければならない」と理解を求めた。

 発表した石上琴乃さん(ふたば未来2年)は「さまざまな意見をもらえてうれしかった。学びを生かし、何事にも挑戦していきたい」と語った。同NPOの西本由美子理事長は「福島の未来を担う若者の率直な意見が発表できた」と話した。福島民友新聞社から中川俊哉社長が出席した。