長崎の高校生語り部、原田さん伝承館へ 次世代が経験語り継ぐ

 
高村館長から展示の説明を受ける原田さん(手前左)

 広島と長崎で「二重被爆」した曽祖父の体験を継承し、語り部として活動している長崎市の高校2年生原田晋之介さん(17)が1月31日、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館などを見学した。原田さんは「長崎では被爆者が高齢化しており、直接話を聞く機会は貴重になっている。福島では現在、体験者の話を直接聞くことができる。その環境は大事」と述べ、次世代が震災の教訓を継承していくことの重要性に言及した。

 原田さんの曽祖父の故山口彊(つとむ)さんは広島で被爆した後、古里の長崎に戻って再度被爆した。原田さんが3歳の時に93歳で亡くなり、直接体験などを聞いたことはなかった。しかし、家族らが曽祖父の体験を語り継いでいる姿などに触れ「自分も伝えていきたい」と決意した。

 語り部活動を始めたのは小学5年生から。関係者から話を聞いたり文献を読んだりして、被爆の実態を学んできた。現在は長崎南山高に通い、曽祖父の体験をまとめた紙芝居を読む活動を地元の中学校などで行っている。「自分が体験していないことを語っていいのか」と迷いながらも「曽祖父の二重被爆という境遇を伝えなければいけない」と活動してきた。

 伝承館には高校の修学旅行に合わせて訪問し、長崎市出身の高村昇館長から展示の説明などを受けた。見学後に取材に応じた原田さんは「福島の現状を語り部の方から聞いて、すごく伝わってくるものがあった」と語った。その上で「体験した人の話を聞くことができるのはいい」と話した。