語り部集い「伝承」議論 大熊でサミット、被災遺構の重要性指摘
一般社団法人大熊未来塾の「伝承の仲間づくりサミットin大熊」は11日、大熊町の「linkる(リンクる)大熊」で開かれた。広島や水俣、宮城など各地で戦争や公害、被災の記憶を語り継ぐ関係者らが集まり、遺構の保存などを通じて記憶や教訓をどのように伝えていくかについて意見を交わした。
パネルトーク「のこすこと、伝えることの先に」では、大熊未来塾の木村紀夫代表理事らが登壇した。広島で被爆建物の保存などに尽力している「廣島・ヒロシマ・広島を歩いて考える会」の多賀俊介さんは、爆心地近くに整備された平和記念公園に、かつて4000人以上の人が住んでいたことが知られていない現状を紹介し、各地の「あの日」の前の状況などを伝えることの重要性を指摘した。
震災遺構を巡っては、宮城県の「大川伝承の会」共同代表の佐藤敏郎さんが、東日本大震災による津波で多くの児童が亡くなった大川小(石巻市)の校舎保存を巡る議論を振り返り「残す、残さないの主張の双方に正しさがあった。どのように決めていくかのプロセスが大事だ」と訴えた。
木村さんは、大熊町の帰還困難区域内にあり、東京電力福島第1原発事故当時の状況が残されている熊町小に言及し「案内すると、原発を視察するよりも原子力災害を『自分ごと』として理解できるという人がいる。ぜひそのまま保存してほしい」との意見を述べた。
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