アルコール疾患避難で悪化 福島医大研究「関連死防止へケアを」
福島医大医学部2年の北沢賢明氏らの研究チームは19日、南相馬市で東日本大震災の災害関連死と認定された人とアルコール関連疾患の関係を調べた結果、避難で疾患が悪化し、最終的には死亡に至ることが分かったと発表した。北沢氏は「アルコール関連疾患を持つ人への注意深い医療的ケアが必要だ」としている。
研究チームによると、同市で災害関連死と認定された520人のうち、肝硬変などのアルコール関連疾患に伴う災害関連死と認定されたのは6人だった。この6人の死亡時の平均年齢は52.83歳で、全体平均の82.69歳より若かった。また、災害から死亡までの日数は全体平均が230.6日だったのに対し、6人は341.5日と長かった。
6人のうち5人は発災前にアルコール関連疾患の治療を受けており、多くのケースで病院閉鎖のため避難を余儀なくされ、入退院を繰り返すうちに病状が悪化していた。不眠や食欲不振で服薬や飲酒を増やし、避難から帰宅後にうつ病が悪化した例もあった。
このため研究チームは発災後、おおむね6カ月後を示す「慢性期」に疾患が悪化したと分析。発災前後で治療を途切れさせない体制が重要という。
災害関連死について研究している同大放射線健康管理学講座の坪倉正治主任教授は、災害関連死については不明確な部分が多いとし、「関連死の状況によって個別の対策が必要になる。一つ一つ詳細に分析し、関連死を防ぐ対策につなげたい」としている。研究結果をまとめた論文は海外学術誌に掲載された。
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