川内、小高、大熊...避難者の思い 福島大1年生が冊子まとめ

 
冊子を作った(左から)陣野さん、渡辺さん、千葉さん、久保田特任助教

 福島大の1年生が、原発事故で避難を余儀なくされた川内村、南相馬市小高区、大熊町の住民にインタビューして現状などをまとめた小冊子を作った。3地域それぞれ千部ずつ作製し、関係者や関係機関などに順次配布している。

 全ての学類の1年生を対象とした授業「むらの大学」で事前学習を重ね、現地に何度も足を運び、次世代につなげようとインタビューにまとめた。震災から13年となる中、震災当時の様子を良く知らない学生に教訓を伝承する目的などがある。

 1年生69人が3地域に分かれ、川内村では5人、小高区では7人、大熊町では6人にインタビューした。冊子では、住民が現在の思いや今後の展望、課題などを話している。

 「川内村の方の温かい人柄やのどかさが感じられた。今後の災害の一つの手助けになってほしい」と話すのは、行政政策学類の千葉羽奏(わかな)さん。また渡辺駿さん(同学類)は「大熊町の方の地元を愛する気持ちを知ることができた。冊子でそれぞれの地域や魅力を知ってほしい」と話し、陣野祥汰さん(人間発達文化学類)は「小高区を担当した。震災の記憶を継承する大切さを学ぶことができた」と振り返る。

 教育推進機構の久保田彩乃特任助教は「冊子にQRコードを設けており、収めきれていない全文を公開している。ぜひご覧いただきたい」としている。