あなたよ...安らかに 東日本大震災から13年、次の復興への一歩
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から13年の節目を迎えた11日、県内各地で関連死を含めて4000人を超える犠牲者の追悼や被災地の復興を願うさまざまな行事が行われた。巨大な揺れと津波によって家族や知人を失った人たち、地域再生に奔走する人たち、そしてあの日を経験していない子どもたち。それぞれの思いを胸に、県内は静かな祈りに包まれた。
震災発生時刻となった午後2時46分、県内各地で黙とうがささげられた。復興のシンボルとして子どもたちの歓声が響くJヴィレッジでは、多くの家族連れらが目を閉じ、手を合わせた。開催された追悼と復興を願うイベントには、1月に発生した能登半島地震で被災した石川県の高校生らの姿もあった。
発生から13年が経過した今もなお、2万6277人(2月1日現在)が県内外で避難を続ける。7市町村に残る避難指示も解除のめどは立っていない。
ただ復興は着実に前進を続ける。昨年は帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が全て解除され、本格的な復興に向けて動き出した。創造的復興の中核として期待される福島国際研究教育機構(エフレイ)が開所、移住者や新規就農者が最多となるなど復興の取り組みが形になりつつある。
一方で課題は山積する。第1原発では廃炉の試金石となる溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しが控え、昨年8月に始まった処理水の海洋放出や除染で出た土壌の県外最終処分に向けた議論の行方は本県の未来を左右する。復興が進んだことで新たな課題も顕在化し、人口減や地域コミュニティーの再生など、次なる困難に直面する被災自治体もある。
全国で自然災害が相次ぎ、1月に発生した能登半島地震では、石川県を中心に多くの避難者が自宅に戻れないでいる。県内でも震災を経験していない世代が増え、いつか来る災害のため、記憶や教訓をいかに次世代につないでいくかも問われている。
福島市で開かれた県主催の東日本大震災追悼復興祈念式では郡山高合唱部による献唱などが行われ、県内遺族を代表して浪江町出身の鍋島悠輔さん(20)が追悼の言葉を述べた。「震災の教訓を活(い)かし、決して忘れないようにしていかなければなりません」。本県は次の復興への一歩を踏み出す。
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