福島の今...胸に刻む 県追悼祈念式、相馬高新聞「伝えていく」
福島市で11日に行われた県主催の東日本大震災追悼復興祈念式では、359人の参列者が犠牲者に鎮魂の祈りをささげるとともに、次代を担う若者が未曽有の複合災害で得られた教訓を後世に伝え続けていくための決意を披露した。
「他県の方々にも福島の状況を正しく知ってもらうことが大切になる」。相馬高2年で校内新聞を発行する出版局部長の山本咲妃(さき)さん(17)、副部長の草野紗羽(さわ)さん(17)、部員の佐々木明日香さん(17)は追悼式の「若者のことば」で、古里の姿を一変させた震災の教訓を伝え続ける決意を紡いだ。
約1400字で構成した誓いは、13年前の"先輩記者たち"の紹介で始まった。震災から38日後に発行された「相馬高新聞」には「もう一度相馬高校での生活を作り直そう」と記されていた。山本さんは「38日後という日付は、新聞では新しいとは言えない。でも、みんなを励ますことができる新聞です」と敬意を込めた。
出版局は、震災を伝える特集を継続している。草野さんや佐々木さんは、12年ぶりに復活した「松川浦の浜焼き」、本県沖で水揚げされる天然トラフグ「福とら」を取材した経験や、滋賀県の高校などを訪問した経験を紹介。「他県から見た福島を知ることができた」「県民でもまだまだ知らなかったことがあった」などと率直な思いを披露した。
若者のことばに明記した「自分たちが震災の記憶がある最後の世代」との言葉には震災から13年が過ぎ、風化が目に見えて進むことへの危機感を込めた。「私たちが取材しないと(誰かの)知るきっかけにならないことも多いと思う。常にアンテナを張って、福島県のこと、相馬のことを伝えていきたい」と山本さん。あの日から震災の教訓を残し続けてくれた先輩たちのように、紙齢を積み重ねていく覚悟をにじませた。
未来への思い記す 中学生の手紙朗読
式の冒頭には、県内の中学生から募った「未来への手紙」が朗読された。729人の応募の中から選ばれた原町一中の鈴木真日瑠(まひる)さん(2年)、白河二中の小針萌詩(める)さん(3年)と鈴木凜さん(2年)がつづった未来への思いを、司会が読み上げた。未来への手紙は、震災や原発事故の記憶を伝承する目的で県が初めて募集した。11日の定例記者会見で内堀雅雄知事は「こうした取り組みを行い、(震災を)経験していない若い世代にしっかり伝えていきたい」と語った。
県内外から献花
会場では式後、県内外から一般市民が献花に訪れ、祈りをささげた。
祭壇は、被災地で栽培が再開されるなどした県産の花でしつらえた。中心には川俣町産アンスリウムなどの淡い色の花を添え、未来や復興への思いを表した。標柱に向かって立体感のあるデザインとし、13年間の歩みを表現したという。
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