「あっくんとデコやしき」 デコ屋敷、中に入ると...

 
福音館書店 1650円

 あっくんの父さんは三春町のデコ屋敷(やしき)と呼(よ)ばれる仕事場で"デコ"という張(は)り子の人形を作っています。母さんは赤ちゃんが生まれ大忙(おおいそが)し。ウサギの世話や洗濯物(せんたくもの)の取り込(こ)みなど、あっくんに次々と手伝いを頼(たの)みます。夕方、母さんは泊(と)まり込んで仕事をする父さんに、弁当(べんとう)を届(とど)けるよう頼んできました。手伝いばかりで遊べないあっくんは、おもしろくありません。

 届ける途中(とちゅう)、顔にあたった桜(さくら)の枝(えだ)を折り、道の真ん中にいたネコに小石を投げつけ、日なたぼっこをしていたトカゲを桜の枝でたたきました。デコ屋敷に着いた時、あたりは薄暗(うすぐら)くなっていました。戸を開け中に入ると、シーンと静かで呼びかけても返事がありません。その時、棚(たな)に並(なら)んでいるデコの目がぼんやり光り出しました...。

 桜、デコ、方言など福島出身の作者のふるさとへの温かな思いが伝わる絵本。いきいきとした絵も私(わたし)たちをお話の中に引き込みます。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています