「中くらいの幸せの味」 小学生商店街のために

 
国土社 1540円

 小学5年生の盛太郎(せいたろう)のうちは、けやき町商店街にある中華(ちゅうか)料理屋さん。看板(かんばん)料理は中華丼(どん)! けっこう人気があるのだが、近くにファミレスができてからお客さんが減(へ)っている。そんな時に父ちゃんが交通事故(じこ)でけがをして入院。店の出前もできなくなってしまった。

 父ちゃんに「家のことを頼(たの)むぞ」と言われた盛太郎だが、店の手伝いをする気は全くない。心配して手伝いに来てくれた米屋さんの娘(むすめ)、同級生のすずに「自分の家のピンチ、真剣(しんけん)に考えて!」と怒(おこ)られてしまう。病院に行く途中(とちゅう)に聞いた電器屋さんの休業の話を父ちゃんにすると、「商店街のどの店も客が減っている」と教えられた。うちだけの問題ではなかったのだと知った盛太郎は...。

 いろいろな出来事をきっかけに、無関心だった店や商店街のことを真剣に考える盛太郎がたくましい。子どもたちの熱意に刺激(しげき)を受け、前向きになっていく大人にもエールを送りたくなる。頑張(がんば)れ小学生! 中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています