「希望の図書館」  寂しい少年癒やす詩集

 
ポプラ社 1650円 

 1946年、米国アラバマ州で暮(く)らしていた少年ラングストンは、大好きだった母が亡(な)くなり、父さんと二人でシカゴの街に越(こ)してきました。転校先で、同級生から「南部の田舎者(いなかもの)」といじめられても、仕事で疲(つか)れた父さんに相談(そうだん)することはできず、寂(さび)しい毎日を過(す)ごしていました。

 本が大好きなラングストンは、ある日図書館の前を通りかかり、誰(だれ)でも利用できると聞いて驚(おどろ)きます。アラバマでは、黒人が図書館を利用することはできなかったのです。司書に案内されて中に入ると、「ラングストン・ヒューズ」という名前の作家が書いた詩集を見つけ、読み始めます。自分と同じように都会へ移住(いじゅう)した黒人作家の詩を読むうちに、家族や故郷(こきょう)への思いが癒(い)やされていくのでした。

 健気(けなげ)なラングストンが少しずつ希望を見いだしていく姿(すがた)が、温かく胸(むね)に残る物語。あとがきに、公共図書館が建てられるまでの経緯(けいい)が紹介(しょうかい)されています。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています