「あるヘラジカの物語」 動物の「命のつながり」

 
あすなろ書房 1650円

 アラスカにもうすぐ冬がやってきます。群(む)れを率(ひき)いる大きなオスのヘラジカは、見知らぬオスが近づいてくることに気がつきました。メスたちを自分のものにしようと狙(ねら)っているのです。オス同士(どうし)の激(はげ)しい戦いが始まりました。800キロもの2頭がぶつかり合います。角(つの)をつき合わせ、どちらも負けていません。ガキッ! 角と角が絡(から)まり合い、どうやっても外れなくなってしまいました。2頭は戦い続けるしかありません。とうとう2頭は疲(つか)れ果て、ぐったりと膝(ひざ)をついてしまいました。遠くで見ていた1頭のオオカミが、遠ぼえで仲間を呼(よ)びます...。

 写真家・星野道夫氏(1996年死去)が遺(のこ)した、角と角を絡ませたまま骨(ほね)になった2頭のヘラジカの写真。この写真から、大自然の中で繰(く)り広げられる壮絶(そうぜつ)なドラマと、そこで生きる動物たちの命のつながりを、鈴木まもるさんが一冊(いっさつ)の絵本にしました。大人も一緒(いっしょ)に楽しめます。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています