「おじいちゃんとの最後の旅」 最後の願い奮闘する孫

 
徳間書店 1870円

 僕(ぼく)のおじいちゃんは、怒(おこ)りっぽくてやたらと大声を出すし、汚(きたな)い言葉も平気で使う。でも、僕はおじいちゃんが大好きだ。そんなおじいちゃんが、また足の骨(ほね)を折って入院した。看護師(かんごし)さんにまで怒鳴(どな)り散らすおじいちゃん。お父さんは、頑固(がんこ)で頭が変で面倒(めんどう)くさい人だと言って、あまりお見舞(みま)いに行きたがらない。でも本当は、自分の父親が弱っていく姿(すがた)を見るのがつらいのかもしれない。「おじいちゃんは心臓(しんぞう)も弱っていて、もう二度と元気にはならない...」と、お父さんは言ったんだ。

 ある日、僕はおじいちゃんと秘密(ひみつ)の計画を立てた。それは病院を抜(ぬ)け出し、去年亡(な)くなったおばあちゃんと2人で暮(く)らしていた小さな島の家に行くことだった。おじいちゃんには、ある大切な目的があったんだ。それは...。

 祖父(そふ)の最後の願いをかなえようと1泊(ぱく)2日の旅を決行し、奮闘(ふんとう)する孫ウルフの姿が胸(むね)に残る。夫婦(ふうふ)愛と、家族愛と、ユーモアに満ちあふれた胸を打つ一冊(いっさつ)。中学年から大人まで。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています