「111本の木」 女の子生まれた時のお祝い

 
光村教育図書  1540円

 インドのある村では、少し前まで男の子の誕生(たんじょう)だけを祝う習慣(しゅうかん)がありました。しかし、今は女の子が生まれると111本の木を植えてお祝いするようになりました。

 村長のスンダルさんは、大理石工場のせいで土地が荒(あ)れていくことに心を痛(いた)め、工場をやめて村長になりました。木を植えて土地を豊(ゆた)かにし、女の子も学校へ行けるようにと村の人たちに根気強く伝えました。幼(おさな)い頃(ころ)に母親を、そして病気で娘(むすめ)を亡(な)くした彼(かれ)には、111が女の子・水・木を表すように思われ、村で女の子が生まれたら111本の木を植えようと思いついたのでした。村は緑豊(ゆた)かになり、人々は安心して暮(く)らせるようになりました。

 シャム・スンダル・パリワルさんは、今も活動を通して自然保護(ほご)や、男女の格差(かくさ)、貧困(ひんこん)をなくすことの大切さを伝え続けています。美しい色彩(しきさい)の絵からは、スンダルさんの温かさが伝わってくるようです。巻末(かんまつ)の写真と解説(かいせつ)もあわせて大人にも読んでほしい絵本です。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています