「カメくんとイモリくん 小雨ぼっこ」 毎日の大切さ、10の話に

 
偕成社 1320円

 のんびり屋のカメくんと行動派(は)のイモリくんは、川のほとりに住む仲良しのお隣(となり)さんです。ある日突然(とつぜん)の大雨で、イモリくんの家は下流に流されてしまい、流れ着いた遠くの〈ヒキガエル池〉に引っ越(こ)して行きました。

 そんなイモリくんが、夏の始まる頃(ころ)、1年ぶりにカメくんに会いに来たのです。川にもぐってきれいな石を見つける宝(たから)さがし、お気に入りの石にもたれての小雨(こさめ)ぼっこ、川の上流に住むオオサンショウウオのおじいさんの所に遊びに行ったり...。去年の夏と同じことができる喜(よろこ)びでいっぱいの二人です。しかし、イモリくんの帰る日が近づきます。イモリくんが最後にカメくんとしたかったこととは何だったのでしょうか。

 ずっと続くと思われたあたり前の毎日。その大切さを、ほんわかと感じさせる10のお話です。生き生きとした挿絵(さしえ)が物語に深みを与(あた)えています。巻頭(かんとう)に描(えが)かれた地図で楽しい想像(そうぞう)がふくらむことでしょう。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています