「ゴリランとわたし」 人と動物だって家族に

 
岩波書店 1870円

 養護施設(ようごしせつ)で育ったヨンナは、9歳(さい)で突然(とつぜん)ゴリラの養子になります。名前はゴリラン、無愛想で、家も車の中も散らかり放題、しかし大の読書家。仕事は言葉巧(たく)みにガラクタを売りつけること。初めはゴリランを怖(こわ)がっていたヨンナでしたが、彼女(かのじょ)の優(やさ)しさに触(ふ)れ、お互(たが)いになくてはならない存在(そんざい)になっていきました。

 ある日、ゴリランの土地を欲(ほ)しがっている土地開発業者がやってきて、あの手この手を使って二人を引き離(はな)そうとします。ヨンナはまたあの嫌(いや)な施設(しせつ)に戻(もど)ることになるのでしょうか。そして、明らかになるゴリランの秘密(ひみつ)とは...。

 「ヨンナはどうしたい?」とゴリランはよく聞きます。日々の暮(く)らしの中で、ヨンナは自分の考えを話し、目には見えなくても大切なものがあることに気づきます。一見奇想(きそう)天外と思われる設定(せってい)ですが、二人の生き生きとした会話や心通わせる様子が温かく、二人の未来を応援(おうえん)したくなる作品です。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています