「オニタロウ」 優しい鬼と子ども勝負

 
福音館書店 1540円

 「福は内、鬼(おに)は外」。豆まきはしましたか? 鬼のイメージはいばりんぼうで乱暴者(らんぼうもの)など、あまりいい印象(いんしょう)ではありません。でも、オニタロウは、鬼の仲間には弱虫とか臆病者(おくびょうもの)といわれるような、気がよく優(やさ)しい鬼でした。

 ある日、オニタロウは訪(たず)ねてきた父さんオニに30人の子分がいると見栄(みえ)をはってしまい、今度会わせる約束までしてしまいます。さぁ困(こま)りました。子分なんて1人もいません。そこで、人里にある「たけのこ園」に手紙を書くことにしました。

 「おれは鬼の親分だ。おれさまと相撲(すもう)で勝負して、勝てなければおれさまの子分になれ」。受け取った人間の子どもたちは大騒(おおさわ)ぎ。相撲の練習をしたり、落とし穴(あな)を掘(ほ)ったり、雪玉を作ったり、それから節分の豆の準備(じゅんび)も...。

 優(やさ)しいオニタロウと元気いっぱいの子どもたちの様子が生き生きと描(えが)かれています。躍動感(やくどうかん)ある挿絵(さしえ)も効果的(こうかてき)。この季節にぜひ読んでほしい一冊(いっさつ)です。低学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています