「正吉とヤギ」 小さな島、平和願う祈り

 
福音館書店 1540円

 今から70年以上前に、南の小さな島に住んでいた6歳(さい)の少年、正吉(しょうきち)のお話です。その島では、どの家もサトウキビを植え、ヤギやブタを飼(か)い、穏(おだ)やかに暮(く)らしていました。

 ある日、正吉は見つけるといいことがあると言われている"鈴石(すずいし)"を畑で見つけました。いいことって何だろう? 戦争に行った父さんや兄ちゃんが帰ってくるのかな? 大きな島の工場に働きに行っている母さんが帰ってきたらいいのになあ...。すると、夕方おじいが子ヤギを抱(だ)いて帰ってきました。大喜(おおよろこ)びの正吉はおじいとヤギの小屋を作ったり、毎日草原に連れて行ったり...。そんなある日、島の沖合にたくさんの真っ黒な軍艦(ぐんかん)が現(あらわ)れました。

 今もまた海の向こうでは戦争が起こり、大切な家族や家を失う人が後を絶(た)ちません。もし、あなたの大切な家族や家を戦争で奪(うば)われてしまったら...。してもいい戦争などありません。この本は私(わたし)たちの平和を願う祈(いの)りのような一冊(いっさつ)です。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています