「かずさんの手」 ひいおばあさんの原爆体験

 
小峰書店 1320円

 96歳(さい)になるかずさんは、みかのひいおばあさん。かずさんの手は、しわしわでもふんわりあったかで、みかは裏庭(うらにわ)で野菜を作ったり、手遊びをして遊んでくれるかずさんが大好き。でも、かずさんはベッドで横になる日が多くなりました。ある日、みかは学校から帰るといつものようにかずさんに声をかけ、手を握(にぎ)りました。すると、かずさんはこれまで誰(だれ)にもしなかった話を、みかに語りはじめました。

 かずさんは、若(わか)い頃(ころ)に長崎の海軍病院で看護師(かんごし)として働いていました。1945年8月9日、長崎に原爆(げんばく)が落ちて大やけどをしたたくさんの兵隊さんが運ばれ「かあさん、痛(いた)いよう」「かあちゃん」「おっかぁ」とあえぎながらおかあさんを呼(よ)ぶ声が、あちこちから聞こえてきました。十分な治療(ちりょう)も受けられずに亡(な)くなっていく焼けこげた兵隊さんたちを前に、かずさんが唯一(ゆいいつ)してあげられたこと。それは...。

 つらく悲しい戦争の記憶(きおく)を、みかと同じように心に刻(きざ)みたいと思う一冊(いっさつ)。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています