「コレラを防いだ男 関寛斎」 江戸期伝染病に挑んだ医師

 
講談社 1540円

 今から150年以上前の江戸(えど)時代の末期。痘(とう)そうやコレラという感染症(かんせんしょう)の予防(よぼう)と治療(ちりょう)にまい進した千葉県の医師(いし)、関寛斎(せきかんさい)のお話です。

 寛斎は農家の生まれでありながら、私塾(しじゅく)「順天堂(じゅんてんどう)」で蘭学(らんがく)、医学を学び、苦労の末医師となります。当時は長い間の鎖国(さこく)により、祈祷(きとう)や迷信(めいしん)に頼(たよ)って病を治そうとした時代。致死率(ちしりつ)の高い伝染病痘そうの予防(よぼう)に、西洋医学を用いた種痘(ワクチン接種(せっしゅ))を行うのは画期的なことでした。

 そんな折寛斎は、「三日コロリ」とも呼(よ)ばれ最も恐れられていた伝染病コレラが、江戸で発生したことを知ります。銚子(ちょうし)の町をコレラから守るため、寛斎はどのような取り組みを行ったのでしょうか。新型(しんがた)コロナウイルスやインフルエンザの予防(よぼう)に欠かせない生活様式がヒントです。

 このお話には、もう一人の偉人(いじん)が登場します。浜口儀兵衛(はまぐちぎへえ)。私財(しざい)を投じて寛斎に協力した忘(わす)れられない人物です。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています