「パップという名の犬」 捨て犬たち 人との絆は

 
評論社 1760円

 子犬のパップは、ベッドで眠(ねむ)っている男の子の横でまるくなっていたが、突然(とつぜん)車に乗せられ、知らない場所に置き去りにされた。パップはジャーマンシェパードの雑種(ざっしゅ)で体が大きくなる上、吠(ほ)え癖(ぐせ)があるので捨(す)てられたのだ。途方(とほう)に暮(く)れるパップを助けたのはフレンチブルドッグのフレンチだった。

 フレンチは、パップを群れのリーダーのレディ・フィフィの元に連れて行った。そこには人間不信になった犬や、いまだに人間との絆(きずな)を信じている犬など、個性豊(こせいゆた)かな7匹(ひき)の犬たちがいた。パップは仲間たちと共に野良犬として生きていくすべを学んでいく。

 人間と犬との間には本当に「聖(せい)なる絆」はあるのだろうか。パップは"あの男の子"に再(ふたた)び出会うことができるのだろうか。

 都会で暮らす野良犬たちが主人公の物語。著者(ちょしゃ)は環境(かんきょう)や動物と人間との関わりを書き続けているイギリスの作家。挿絵(さしえ)も獣医(じゅうい)でもある本人によるもの。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています