【TRY・パンプトラック(下)】体重使って...「リズム良く」

 
レースコースに挑戦する記者(右)。長い距離とこぶの多さに悪戦苦闘した

 先生の滑らかな走りに圧倒させられたパンプトラックへのトライ。「走ってみせる」と大口をたたいただけに、臆してばかりもいられない。後は走るのみだ。(相馬支局・大内義貴)

 しんちパンプトラック専任インストラクターの高橋開さん(28)に走り方を確認する。パンプトラックではペダルはこがない。足はペダルにかけて地面に対して平行に保つ。基本的に右利きの人は右足を前にするのが走行しやすいという。

 走り出した後は、地面のでこぼこをうまく使って加速する。上りで体を縮めながら自転車を引きつけ、下りで体重をかけて押し出す。その体重移動の繰り返しでスピードを上げる。まさにブランコの要領だ。

 まずはキッズコースに挑戦。助走をつけてコースに入ると、スムーズに走行できた。こぶを使ってスピードが上がる。3回ほど走行すると、足を着かずにコースを回ることができた。もしかして楽勝だったか。

 「じゃあレースコースに行きましょう」と、高橋さん。「後はひたすら『精神と時の部屋』ですよ」。人気アニメ「ドラゴンボール」で、1日で1年分の修行ができる過酷な修行場を指す言葉を引用しながら、高橋さんの目がきらりと光る。その言葉をすぐに実感することになる。「楽勝」といううまい話はなかったと。

 レースコースの難易度は段違いだった。距離だけで3倍以上。こぶの数もはるかに多く、一つこぶを越えればすぐにまたこぶ。体重移動がうまくいかない。向かい風もあり、どうしても途中で止まってしまう。

 「リズム良く」「目線は走る先を見る」。高橋さんが熱を込めて指導してくれる。繰り返し走って体で覚えるしかないが、1周走るだけで体力が奪われる。7周走り、息も絶え絶えだ。

 そんな時、ある小学生の姿が目に入る。力を入れずスムーズにスピードを上げていく。その動きをイメージして走ると、徐々に体を使えるようになった。

 体力も限界。合格をかけ、満を持して高橋さんに走行を見守ってもらった。コースに入りこぶで速度を上げ、急角度のカーブを攻める。これまで必ず止まっていた場所もクリアしペダルをこがずにゴール。「やった」と、興奮して声が出た。高橋さんも笑顔で語る。「今日の目標はクリアです」

 途中でくじけそうになったが、走れるようになると面白い。まだまだだが、魅力に触れることはできた。「運動していない30代でもできる」という目標もクリアだろう。珍しい施設と敬遠せずに、ぜひ挑戦してみてほしい。「次はジャンプに挑戦ですね」と高橋さん。それは無理だが、次はもっと上達したい。

 小学生以下に「自転車教室」

 しんちパンプトラックは、毎月第2、第4日曜日を中心に自転車教室を開催している。小学生以下が対象。自転車などは貸し出している。問い合わせは管理棟(電話0244・32・1520)へ。