【TRY・ブンケン歩いてゴミ拾いの旅(下)】6時間で18袋、83キロ

 
(上)国道49号沿いを歩き、ごみを拾う(左から)ブンケンさん、高橋営業部員、熊田記者(下)拾ったごみを車に積む(左から)ブンケンさん、高橋営業部員、熊田記者

 福島中央テレビの番組「ゴジてれChu!」の人気コーナー「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」にトライした記者は、尿入りペットボトルとの遭遇で一気に心が折れた。(報道部・熊田紗妃)

 場所は郡山市の国道49号沿い。ブンケンこと郡山市出身の俳優鈴木文健さん(31)らと一緒にごみを拾い、環境美化の旅をしていると出合ってしまった。

 見た目はお茶のようでもある。「ふたを開けて、臭いをかいでみましょう」とブンケンさん。同期入社の高橋汐紀(せしる)営業部員(22)が覚悟を決めて飲み口に鼻を近づけると表情が一変。「アウトですね」

 その後も次々と見つかる尿入りのペットボトル。道路や歩道脇の茂み、田んぼ脇から出てくる。記者も意を決して臭いをかぐと、強烈な臭いが鼻を突いた。

 「どうしてこんなことするのか」。尿入りペットボトルを不法投棄する人に怒りが込み上げてきた。終盤に差し掛かって疲れも重なり、疑問は増すばかりだ。推測でしかないが、道路脇に集中していることから、通行車両から投げ捨てられたようだ。

 最後の尿入りペットボトルは田んぼ脇の側溝にあった。「46本目!」。高橋営業部員のきょう一番の声が響いた。約6時間かけてゴールの安子ケ島駅に到着した。拾ったごみの合計は18袋、約83キロに上った。

 頑張れたのは通行する県民の応援があったからだ。中には差し入れをしてくれる人もおり「頑張ってね」と直接激励の声をもらった。「福島の人は優しい」とブンケンさん。人の温かさに触れる度に足が軽くなった。

 終了後、ブンケンさんがコーナーに懸ける思いを語ってくれた。大学卒業後、「震災で傷ついた地元のために何かやりたい」と考える中、出演依頼を受けたという。コーナー開始から間もなく2年が経過しようとしている。

 一度きれいにした場所がすぐごみだらけになったり、尿入りペットボトルの不法投棄が相次いだり、失望する場面も多いというが、ブンケンさんは「子どもたちから意識を変えることが大事。今の子どもたちが大人になってごみがゼロになればいい」と語る。コーナー内でごみを"希望のカケラ"と言い換える理由に触れ、ごみを見つけると自然と体が動くようになった。