【TRY・ソロキャンプ(下)】好きなもの好きなだけ...最高!

 
夜のメインディッシュのステーキを焼く。たった1人での晩さんに心が弾む

 猪苗代湖畔の天神浜オートキャンプ場で始まった、人生初のソロキャンプ(1人だけでのキャンプ)。テントの設営などを終えて泊まり込む準備を整えると、周囲は既に暗くなり始めていた。(郡山総支社営業部・丹野雄大)

心満たす静寂と自由

 「よし、夕食の準備にかかろう」。なたを手に、キャンプ場の事務所で購入したまきを割り始めた。続いて、たき火台をセッティングし、拾ってきた小枝や松ぼっくりに火を付ける。ある程度火の勢いが出たところで、細く割ったまきをくべる。火が落ち着いた頃合いを見て台に網を設置した。

 さっそく今日のメインディッシュの調理だ。奮発した約400グラムの牛ステーキ肉を網の上にのせる。「ジュッ」と脂が焼ける音が食欲を駆り立てる。スパイスを振りかけ、トングを使って裏表を満遍なく焼けば完成だ。皿にのせてナイフで切り分け、口に運ぶ。何にも邪魔されることなく、好きなものを好きなだけ食べる幸せに満たされる。「ソロキャンプって最高だ」。心の中で叫んだ。

 腹が満たされたところで、やり残してきた仕事のことを思い出した。「パソコンも持ってきているし、ここでやるか」。テントの中はストーブのおかげで温かい。少しだけテントの入り口を開放して冷涼な空気を入れながら、パソコンに向かった。心なしか仕事のはかどりもいつもより早い気がする。近年、旅行先でリモートワークをする「ワーケーション」が注目されているが、期せずして自分も体験してしまった。

 夜が更けて、そろそろ眠くなってきた。地面から冷気が伝わってこないよう厚めのマットを敷いて寝袋に入る。静寂に包まれて心地よい眠りに就いた。

 翌日は午前5時ごろに目が覚めた。外は暗いが、テントの中で朝食の準備に取りかかる。コーヒーを飲みながら、ハムとチーズ、目玉焼きを挟んだホットサンドを頬張る。

 外が明るくなってきた。新鮮な空気を吸い込みながら猪苗代湖畔を歩くと、ソロキャンプもそろそろおしまいだ。名残惜しい気持ちでテントの撤収に取りかかる。ごみが残っていないか確認し、車に乗り込んだ。ハンドルを握りながら「次はどこでソロキャンプをやろうか」と考えている自分がいた。

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 県内のキャンプ場 県内には100カ所以上のキャンプ場がある。浜通りは海辺、中通りは森林、会津地方は湖畔など地域の特色を生かしたキャンプ場が多く、県内外からたくさんのキャンパーが訪れている。最近は、テントなどの装備を持参しなくてもキャンプを楽しめる「グランピング」が体験できるキャンプ場も増えてきている。