甲子園...聖光学院ナインの心の中に! 特別な夏「やり抜いた」

 
優勝した聖光学院ナイン=ヨーク開成山スタジアム

 夏の大会として14年連続優勝を飾った聖光学院。新型コロナウイルスの影響で例年のように対外試合や練習計画をこなせない中でも王者の底力を見せつけた。甲子園の中止が現実味を帯び始めた5月中旬に全部員を集め、引退の意思を確認したが辞める部員は一人もいなかった。「将来甲子園に行ったぞと言うより、甲子園がなくなってもやり切ったぞと胸を張って言えることが大事なんじゃないか」。斎藤智也監督からチームの原点ともいえるやり切る強さを求められ、それに応えた選手たち。

 閉会式の簡略化により、優勝メダルは斎藤監督らから直接、選手の首に掛けられた。記念品として同校OBが県高野連に提供した甲子園の土も手渡された。内山連希主将(3年)は「優勝したからこそ甲子園が本当にないんだと思ってしまった」とありのままの心境を語った。それでも「それ以上に追い求めてきたことをやり抜いて県のてっぺんを取れた」と言葉を続け、「心の中の甲子園」を合言葉にやり切った大会を笑顔で締めくくった。

 一方、決勝を戦った光南の藤井隆太郎主将(3年)は「みんなで野球ができたことは宝物」と晴れやかな表情。大会ルールにのっとり、勝ち進むごとに登録選手を入れ替えて3年生32人全員がベンチ入りした。「今までの努力を発揮し、思い切りプレーができた。大会を開いてくれたことに感謝したい」と集大成の夏をやり抜き、感謝の言葉が続いた。

 保護者「逆境、選手同士に絆」

 球場での観戦も制限された異例の大会。保護者たちは選手らを励まし、背中を押し続けた。

 「頑張ってきた証しを残せたと思う」。聖光学院の小賀坂誠野球部保護者会長(43)は優勝を喜んだ。甲子園中止が決まった時は保護者の気持ちも沈んだが、練習に打ち込む選手の姿に逆に勇気づけられた。「球児の思いをくんで、大会実施を決めてくれた高野連には感謝している」とする。内山連希主将の母留美さん(47)は甲子園中止が決まる前、不安を抱える息子に「試合があると思って練習を続けなさい」と激励。「代替の大会は開かれると信じていた。努力を発揮する場をつくってくれてありがたい。東北大会でも1番を勝ち取ってほしい」とエールを送る。

 光南の国井飛河投手の父勝徳さん(42)は「コロナの影響で、練習できない3カ間は自分との闘いで相当努力を重ねていたと思う」振り返り、「素晴らしい大会を与えてくれたことにお礼を言いたい」とした。藤井隆太郎主将の母史子さん(47)も「逆境を通じ選手同士の絆が生まれ、最後までやり遂げた全員野球につながった」とたたえた。

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