福島県は「自民対共闘」激突 衆院選・5小選挙区の構図固まる

 

 衆院選(19日公示―31日投開票)での野党共闘を巡り、共産党県委員会は13日、福島2区からの立候補を予定していた新人の平善彦氏(69)の擁立を取り下げると発表した。2区の野党候補は立憲民主党新人の馬場雄基氏(28)に一本化されることになり、県内五つの小選挙区全てで自民党と野党統一候補が激突する構図が固まった。

 県庁で13日、記者会見した町田和史県委員長は「5選挙区ともに気持ちのよい共闘ができるよう取り下げる方針とした」と説明。平氏も「野党が一致して打倒自公政権に進むことは私の本意でもある。野党候補は5選挙区全てで勝利することを期待したい」と述べた。平氏の比例東北への擁立は検討していないという。

 一方、2区の野党統一候補となる馬場氏は「重く受け止めている。日本を支えていくために力を振り絞り全身全霊で励んでいく」とのコメントを発表した。2区には自民現職の根本匠氏(70)が立候補を予定しており、閣僚経験者に新人が挑む形となる。

 野党共闘を巡っては2区と同様、立民と共産が新人の擁立を予定していた5区で、立民新人の鳥居作弥氏(47)が小選挙区での立候補を断念、比例東北に擁立される見通し。立民県連の亀岡義尚幹事長は平氏の擁立取り下げについて「相当な苦労があっての判断だったと思う」とした上で、「今後は互いのため、どのような選挙協力がふさわしいか真剣に考えていく」と述べた。

 野党が候補者を一本化した2、5区のほか、1区は立民の金子恵美氏(56)と自民の亀岡偉民氏(66)、3区は立民の玄葉光一郎氏(57)と自民の上杉謙太郎氏(46)、4区は自民の菅家一郎氏(66)と立民の小熊慎司氏(53)が立候補を予定。いずれも現職同士の対決となる見通しだ。

 野党共闘に対し、連立政権を組む自民、公明両党も衆院選に向けて連携を加速させる。自民党県連と公明党県本部は14日、選挙協力に関する協定を結ぶ予定。新型コロナウイルス感染症対策や経済対策など喫緊の課題が山積する中で、自公政権による安定的な体制を継続する必要性を訴えていく。13日には自民の全国幹事長会議がオンラインで開かれ、西山尚利県連幹事長が出席し選挙対策を協議した。

 5区で渡辺氏が立候補表明

 福島5区に新人の会社員渡辺幸洋氏(32)=いわき市=が無所属で立候補すると表明した。13日、県庁で記者会見した。

 渡辺氏は同市出身。平商高卒。「発達障害の認定を受けてどう生きていけば良いか不安があった。(生活に必要な最低限の金額を一律に支給する)『ベーシックインカム制度』を導入して障害がある人でも基本的な生活を心配せずに送ることができる、そういう未来をつくりたい」と述べた。

 5区には、自民現職の吉野正芳氏(73)と共産新人の熊谷智氏(41)が立候補を予定している。