【首長に聞く】広野町長・遠藤智広氏 新旧住民と「共生のまち」

広野町は、東京電力福島第1原発事故に伴う緊急時避難準備区域の解除から10年半を迎え、町民の9割が帰還している。遠藤智町長は「住みやすい環境を整え、さらなる復興と創生に挑む」と語り、移住者向け住宅地や文化交流複合施設の整備に意欲を示した。
―震災、原発事故からの復興に向けた取り組みと成果は。
「オフィスビルやホテル、商業施設の設置などで成果を上げてきたと考えている。震災当時の人口は約5500人だったが、帰還した住民に復興関連従事者を含めると、現在は約6200人が町内で生活している。新しい住民と帰還した町民の『共生のまちづくり』に取り組んでいきたい」
―津波被害を受けたJR広野駅東側に整備を計画する住宅地の展望は。
「2023年度の完成を目指している。住宅用地の購入に関する補助制度を創設し若い世代の移住と定住の促進につなげたい。新しい産業団地の整備も進め、企業誘致を通じて働く場も確保する。町の魅力を高め、住みやすい環境を整える」
―旧広野幼稚園が文化交流複合施設に生まれ変わる。どう活用するのか。
「町の文化財を活用した体験学習やワークショップなどを開催し、住民が交流を深める場にしたい。町内で発掘された恐竜の化石も展示し、子どもたちの好奇心や創造力も養いたい。施設を拠点に教育支援や地域課題の解決に向けた人材の育成に取り組む考えだ」
―大規模改修を計画するJR広野駅の将来の姿は。
「現在の駅舎を住民の交流の場として活用し、新たにコンパクトな駅舎を整備したい。実現に向けてJR東日本と協議を進めていく。駅を中心に、交流人口の拡大とにぎわいの創出につながるよう利便性を高めていきたい」
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