復興、風評払拭に提言 福島県内の高校生、自分の言葉で伝える

 
思いを発表する中島さん

 県内の高校生が、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく12年を迎える本県への思いなどを発表する「ナラティブ・プレゼンテーション」は7日、郡山市で開かれ、高校生19人が等身大の言葉で復興や風評払拭などへの考えを語った。

 県環境創造センターの主催。今回で3回目。震災当時は幼かった現在の高校生にこれまでの経験や学んだことを自分の言葉で発表してもらうことで、震災の記憶の風化防止などにつなげる狙いがある。生徒たちは昨年6月から全10回の講座に参加し、自分ならではのストーリーを考えたり、思いが伝わる発表方法を学んだりしてきた。

 この日の発表で、ふたば未来学園高1年の中島空音さん(広野町)は原発事故で県内外に避難したことや新型コロナウイルス禍などを通じて家族の支えを実感したと説明。また、中学生の時に富岡町の語り部から話を聞いたことを振り返り「自分にしかない震災の経験を大切にしながら、私も語り継いでいきたい」と発表した。

 風評への考えを語った磐城高1年の笹沢花音さん(いわき市)は「知識がない中で怖がるのではなく、理解した上で正しく怖がる」ことの大切さを強調。その上で「言葉には重さがある。伝える人の感情が乗れば、より確実に相手の心に届けられる」と訴えた。

 生徒たちを指導してきたプレゼンテーションクリエイターの前田鎌利さんや、東京大大学院准教授の開沼博さん、詩人の和合亮一さん、NPO法人「富岡町3・11を語る会」代表の青木淑子さんが講評した。内堀雅雄知事や前田さんらによるトークセッションも行われた。