「言葉・記憶・開放性」テーマに対談 開沼博氏と玄侑宗久氏

 
伝承館で開沼氏と対談する玄侑氏(右)

 東日本大震災・原子力災害伝承館の上級研究員・開沼博氏が、3人の文化人と対談する「対話福島2023」は21日から、双葉町の同館で始まった。初回は芥川賞作家の玄侑宗久さん(三春町)をゲストに、「言葉・記憶・開放性」をテーマに幅広く意見交換した。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく12年となる現在、日常の中で風化してしまいそうな課題について、対面でじっくりと言葉を交わし議論することが狙い。2日間の日程で全3回行われ、毎回初日は開沼氏とゲストの対談、2日目は2人と来場者を交えた対話を行う形式を取る。

 玄侑さんは、スマートフォンの普及などで成立したデジタル社会について「情報が常に入り、自分を白紙にできない。シミュレーションで未来が予測できるという勘違いにより、1度の失敗のダメージは昔よりも何倍も大きく感じられる。息苦しさがつくられている」などと指摘した。その上で、対話には「白紙になって相手に対応することが求められる」などと語った。

 2月には詩人の和合亮一さん、3月には小説家の古川日出男さんがゲストで登場する。問い合わせは事務局(電話03・6303・2436、平日午前9時~午後6時)へ。