社殿再建へ安全願う 浪江・苕野神社で上棟式

 
来年2月の完成に向けて行われた上棟式

 東日本大震災の津波で被災し、再建が進む浪江町請戸の苕野(くさの)神社で18日、上棟式が行われた。新しい社殿で来年2月18日、請戸の漁師たちの豊漁と海上安全を祈る「安波祭(あんばまつり)」が行われる予定で、これに合わせて社殿もお披露目される。

 上棟式には関係者約20人が出席した。槌(つち)打ちの儀を行い、宮大工たちが棟木を打ち固めた。

 富岡町に避難する氏子総代長の五十嵐光雄さん(75)は「震災から12年が過ぎ、請戸の地に初めて建物が建った。完成すれば、ばらばらになった住民が請戸を訪れるきっかけができる」と話した。

 神社は震災の津波で社殿が流失した。請戸地区は災害危険区域に指定され、住民が散り散りになった。氏子ら関係者は「請戸に人々が生きた証しを後世に残したい」と再建の準備を進めてきた。新しい神社は震災前の跡地に「流造(ながれづくり)」と呼ばれる建築様式の本殿や神殿、拝殿などが建てられる。周辺は防災林として整備される。