「帰還前向き」過去最高 住民意向調査、浪江23.9%、大熊17.0%

 

 復興庁は27日、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た大熊、双葉、浪江3町の住民意向調査の結果を発表した。既に町内に戻ったり、将来的な希望を含め「戻りたいと考えている」と答えたりした割合の合計は、大熊町が17.0%(前回調査比1.4ポイント増)、双葉町が16.3%(同2.0ポイント増)、浪江町が23.9%(同1.0ポイント増)で、いずれも2012年度の調査開始以来、過去最高となった。

 帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域の再生を巡り、復興庁は避難指示解除に向けて設定する「特定帰還居住区域」制度などが住民に浸透しつつあるのが増加の要因とみている。

 土屋品子復興相は27日の閣議後記者会見で「知り合いが帰還すると、(帰還するかどうか迷っている住民は)『戻ってみたい』という気持ちになりつつある」との見方を示した。

 一方、帰還するかどうかについて「まだ判断がつかない」と回答した割合は、大熊町が25.1%(同1.8ポイント増)、双葉町が24.8%(同1.3ポイント減)、浪江町が23.3%(同2.3ポイント減)だった。

 帰還を判断するために必要な要素として、大熊町では「病院や道路、公共交通など社会基盤の復旧時期のめど」と答えた割合が69.1%(同2.1ポイント増)、双葉町では「医療・介護福祉施設の再開や新設」が47.2%(同1.6ポイント増)で、ともに最も多かった。浪江町では判断がつかない理由として「医療環境に不安がある」が最多の62.8%(同0.2ポイント増)に上った。大熊町では「働く場の確保」、双葉町では「住宅再建に関する支援」、浪江町では「生活に必要な商業施設」を求める意見も多かった。

 町に「戻らないと決めている」とした割合は、大熊町が56.7%(同1.0ポイント減)、双葉町が55.2%(同0.9ポイント減)、浪江町が51.5%(同1.5ポイント増)だった。理由は3町ともに「すでに(避難先に)生活基盤ができている」が最多だった。

 調査は、大熊町が10回目で対象5139世帯のうち2011世帯が回答(回答率39.1%)。双葉町は12回目で対象3244世帯のうち1244世帯が答えた(回答率38.3%)。浪江町も12回目で対象7222世帯のうち2867世帯が回答した(回答率39.7%)。