「町民に元気届ける」踊りがつなぐ古里 浪江・双葉の保存団体

 
古里を感じてもらいたいと継承する獅子舞を披露する「川添の神楽」 =7日午後、二本松市

 二本松市を拠点に県とNPO法人民俗芸能を継承するふくしまの会が、7日にオンラインで開いた「震災より10年 民俗芸能~復興の祈り」。東京電力福島第1原発事故の影響で担い手確保に課題を抱えながら伝統継承に取り組む保存会員が、「避難する町民に元気を届けたい」との思いを込め踊りや獅子舞を披露した。

 浪江町の「請戸の田植踊」「川添の神楽」、双葉町の「前沢女宝財(おんなほうさい)踊」の各保存団体の会員が出演。避難によってなかなか集まって練習の機会もできない中、本番さながらの華やかなステージを繰り広げた。

 昨年3月に避難指示の一部が解除され、特定復興拠点の整備が進む双葉町。前沢女宝財踊保存会の半谷八重子会長は「(町は)表向きには立派になったが、一歩中に入れば震災当時のまま」とした上で「踊りで町民に元気を届けることで、古里との絆が深まれば」と継承への意欲を示した。

 浜通りでは震災で、約350の団体が継承してきた民俗芸能の6割に当たる約210が中断。しかし復活したのは約100団体にとどまる。特に双葉郡内で多様な踊りが保存されていた田植え踊りは避難が大きな壁となり、6団体しか復活できていない。民俗芸能の継承は震災10年を経ても、大きな課題となっている。

 ライブ配信の様子は近く、ユーチューブの「ふくしま民俗芸能ちゃんねる」でアーカイブ公開される。問い合わせは同NPO(電話080・1856・4025)へ。