次は自分が災害支援 いわき出身自衛官「安心与えられる存在に」

 
雪が降る中で訓練に励む中山さん(右)

 いわき市出身の中山裕皓(ひろあき)さん(20)は、東日本大震災当時に自衛隊員から受けた支援がきっかけで陸上自衛隊に入隊し、新発田駐屯地(新潟県)の第30普通科連隊で災害救援などに活躍している。震災から10年となり、「当時は隊員の姿に励まされた。自分も安全や安心を与えられる存在になりたい」と誓った。

 中山さんの地元のいわき市江名地区は震災後に断水が約1カ月続き、自衛隊による給水支援が行われた。江名小に通っていた中山さんは、活動を手伝ったり、隊員との野球の試合に参加したりして親睦を深めた。

 お年寄りが水を運ぶ時には家まで持っていくなど、隊員はいつも親切だった。ある時「どうすれば自衛官になれますか」と男性隊員に尋ねると「優しく、強くならないといけない」との返事に憧れが強まり、自衛官を目指す志が固まった。

 中山さんは2019年4月に陸上自衛隊に入隊。昨年12月には大雪で多数の車が立ち往生した関越道で、入隊後初めての救援活動に携わった。動けなくなった車のドライバーに食料や燃料、毛布などを夜通し配り歩いた。

 雪が降りしきる過酷な環境での活動を経験し、いつも笑顔で励ましてくれた震災当時の隊員を思い出した。

 小学5年生の時、震災当時の自衛隊への感謝と将来の夢を作文につづった。震災から10年がたち、憧れの自衛官になった今も当時の思いは変わらない。「誰かのために、日本のために、役に立つ仕事がしたい」