真の復興「制限なき暮らしを」「発展なければ」 市町村アンケート

 

 福島民友新聞社が行ったアンケートで、「真の復興」についても自由回答で尋ねた。「制限なき普通の暮らし」(富岡町・宮本皓一町長)、「さまざまな立場の町民が何も心配することなく暮らせる町をつくること」(浪江町・吉田数博町長)。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が出るなどした12市町村長は「普通」を取り戻した上での発展を模索している。

 川俣町の藤原一二町長は「社会は刻々と変化している。元に戻すことから、さらに発展した復興でなければ『真の復興』とはいえない」と強調。川内村の遠藤雄幸村長は「現状を乗り越え、生きがいや誇りを取り戻すこと」、田村市の本田仁一市長も「復旧だけでなく、生活・精神面も含めて以前より、より良い状態に戻すこと」として震災と原発事故前、そして今以上の復興が必要とした。

 唯一全町避難が続く双葉町の伊沢史朗町長は「インフラ整備や除染・解体、まちづくりなどが進み、全町民が復興を実感すること」、大熊町の吉田淳町長は「全ての町民がかつて住んでいた土地に戻る選択肢を持てるようになること」と指摘。町の大部分が帰還困難区域となっている古里への帰還を選択できる環境づくりが必要との認識を示した。

 福島大共生システム理工学類の川崎興太准教授(都市計画)は「真の復興」について「原発事故前に戻ることは困難であり、社会、経済、環境などの面で安定した新たな関係性をつくることが重要」と強調。その上で「避難地域は街そのものの消滅の危機に陥ったが、持続可能性を探るためには『原発被災地であること』を最大の強みにまちづくりを進めていくことを考える必要がある」と提案した。

7町村長が「廃炉」

 残る47市町村長を見ると、7町村長が東京電力福島第1、第2原発の完全な廃炉などといった事故処理の完了を「真の復興」に挙げた。三島町の矢沢源成町長は「廃炉がなされたとき」とした上で「その日まで、原発事故を風化させないことが必要」とした。

 このほか、福島市の木幡浩市長は「災害に起因する不安がなく、希望と誇りを持って住み続けたいと思える地域にすること」と指摘。古殿町の岡部光徳町長は「震災前よりも進化した福島県になることが求められる」として、首都圏の人口・産業の受け皿となるような施策・整備を進めるべきだと強調した。