「子どもたちの未来のために」 震災10年、福島民友の提言

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から、あすで10年になります。私たち福島県民は震災前の暮らしを取り戻し、より豊かな県にしようと歩みを続けてきました。しかし、子どもたちの目線が十分に取り入れられてきたとは言えませんでした。福島民友新聞社は、本県に生まれてきて良かったと感じてもらえるようにとの思いから、提言「子どもたちの未来のために」をまとめました。

 震災と原発事故で多くの人の命が奪われました。一人一人の命がかけがえのないものであることを子どもたちに知ってもらうことは、福島県民の大切な役割です。

 根拠のない差別や中傷も経験しました。これから誰もこうした悲しい思いをせずにすむよう放射線の正しい知識をみんなで共有していく必要があります。

 まずは、学校の先生をはじめとする大人が震災と原発事故を深く知り、子どもたちに伝えられるようにしていきましょう。

 放射性物質の飛散により、外で遊べなくなったことは、子どもたちの心と体に大きな影響を及ぼしました。子どもが健やかに成長できるよう、地域や学校が切れ目なく見守っていかなければなりません。大人の負担軽減ではなく、子どもが安らげるかどうかを大切に、居場所づくりを進めることが重要です。

 豊かな自然やお祭りなど昔から伝わってきた文化、地域で生きる人々の歩みは、いつまでも守っていかなければならない宝物です。

 子どもたちが本県の良いところを受け継ぎながら、どんな大人になって、どういう仕事をしたいのかを見つけられる。そして、その夢を実現できる場所にすることが私たちの願いです。

 併せて「社説」をお読みください。

 【3月10日付社説】健やかな成長は大人の責務