2729の思い出、持ち主と再会 開設から7年、浪江の展示場閉鎖

 
最終日に展示場を訪れた来場者

 東日本大震災の津波被害によるがれき撤去で見つかった品物を保管し、持ち主に返す浪江町の「思い出の品展示場」が21日、閉鎖された。2014(平成26)年7月の開設から約7年、来場者数は1万1377人に上り、2729件の品物が持ち主の元へ返された。

 展示場は、環境省の発注で町沿岸部のがれき処理を行った大手建設会社「安藤・間」(安藤ハザマ)の運営で始まり、同町高瀬の旧・双葉ギフト店舗内に開設された。写真、玩具、位牌(いはい)、学用品など、最大約1万8000点の品物が並んだ。

 震災から時が過ぎ、来場者は徐々に減り、引き渡し件数が大幅に減ってきたことから、一定の役割を果たしたとして環境省と町が昨年、閉鎖を決めた。

 最終日の21日、引き渡しはなかったが、57人が来場した。展示場管理者を務めた川口登さん(71)=浪江町出身、相馬市に避難=は「ここは品物だけでなく、かつて浪江にいた人々が再会できる場でもあった。閉鎖は寂しいが、私の役目は終わりました」と話した。

 残った約1万5000点の品物は22日、同町の初発神社により供養される。その後、町が品物を引き取り、処分の検討を進める。