子ども記者、「福島の今」を新聞発表 ジャーナリストスクール
県内の「子ども記者」が復興の取り組みを取材して新聞で発信する事業「ジャーナリストスクール」は最終日の27日、富岡町文化交流センター学びの森で発表会を開いた。小中学生の記者たちが福島ロボットテストフィールド(南相馬市)や東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)の取材を基に作った新聞を披露した。
県とふくしまの学び実行委員会の主催、福島民友新聞社などの特別協力。小学5年生から中学2年生までの9人が参加し、特別講師でジャーナリストの池上彰さんが講評した。
原子力災害伝承館を取材した佐藤歌音さん(醸芳中1年)は「震災にはそれぞれの物語があり、決して一つではない。多くの思いを未来につなぎたい」と学びを紙面につづり、池上さんは「人それぞれに物語がある。これからも、話を聞いて人の思いを大切にしてほしい」と述べた。
池上さんは記事から浮かんだ疑問を記者に尋ねるなど「もっとよくわかる記事」を書くための方法をアドバイス。講評では「分かったふりをせず、何でも調べようとする気持ちを持ち続けて」と心構えを伝授した。また、滋賀県の彦根東高新聞部が子ども記者の発表を取材した。
同スクールには、福島民友新聞社から編集局の石川浩専門委員、加藤邦高編成部員が講師として参加した。
特別講師・池上彰さんに聞く 震災、原発事故伝承に意義
初回から携わる池上彰さんに聞いた。
―参加した感想を。
「以前は高校生が参加していたが、今回は小学生が中心だった。東日本大震災の発生当時、何が起きたか知りたいという熱意を感じた。小さい子どもならではの感性は貴重だ」
―伝えたいことは何か。
「今の小学生は地震や原発事故を覚えていない。当時の状況や被災者を取材して知ること、伝承していくことに意義がある」
―子どもたちに期待することを聞きたい。
「震災から10年が経過した福島県に対する風評や偏見が日本の社会に残っている。子どもたちには復旧、復興、安全など、(福島県が)こんなにいいところだと胸を張って言えるようになってほしい」