「ひろしまの満月」 かめが少女に語る戦争

 
小峰書店 1320円

 広島の町から少し離(はな)れた所に、だれも住んでいない家がありました。庭の古い池には人の言葉を話すかめが一匹(ぴき)。ある日、この家に越(こ)してきた女の子はかめを見つけると「わたし、かえで。2年生。かめさん名前は?」と聞きました。「まめ」と答えたかめは、この日から、かえでちゃん家(ち)のまめになりました。

 やがて、かえでちゃんと心を通わせるようになったまめは、長い間胸(むね)の奥(おく)にしまっておいた出来事を、静かに話し始めます。前にこの家に住んでいた中学生のみのる君が、妹のまつこちゃんを喜(よろこ)ばせるため、お寺の大きな池から、まめをお弁当(べんとう)箱に入れてここに連れて来たこと。まつこちゃんがまめと名付けてくれたこと。そして、1945年8月6日の朝、いつものように広島の町に出かけて行ったみのる君。その日から17日めの満月の夜のこと...。

 「戦争は、かなしみのもとです」と、まめは私(わたし)たちに平和を願い続けることの大切さを教えてくれます。低学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています