「草はらをのぞいてみればカヤネズミ」 懸命に生きる母子の姿

 
小学館 1430円

 カヤネズミは体長6センチ、体重7グラムほどの日本で一番小さなネズミです。ススキやエノコログサが生える草原に住み、葉っぱを裂(さ)いて作った10センチぐらいのボール状(じょう)の巣で子育てをします。巣は、いくつか用意しておき、嵐(あらし)で巣が倒(たお)れたり、カマキリなどの敵(てき)に狙(ねら)われた時に、赤ちゃんを一匹(ぴき)ずつ口にくわえて移動(いどう)するのです。

 生まれた時に1.5センチ、1グラムだった赤ちゃんネズミは、およそ18日で巣立ちを迎(むか)えます。そして間もなく、お母さんネズミは次の出産と子育てが始まるので、一年中大忙(おおいそが)しです。

 撮影(さつえい)に5年を要した写真の数々から、かわいい子ネズミたちが巣から顔を出す様子や、雪が積もった草原で懸命(けんめい)に子育てをしている様子など、貴重(きちょう)な生態(せいたい)を見ることができます。愛らしさはもちろんのこと、懸命に生きる母子の姿(すがた)から、命の尊(とうと)さが伝わります。自然破壊(はかい)に伴(ともな)い絶滅(ぜつめつ)を危惧(きぐ)されるカヤネズミ。もし、草原で出会えたらラッキーですね。(森)

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています