歩夢、貫禄の高得点...決勝で超大技 スノボ・ハーフパイプ予選

 
【男子ハーフパイプ予選】エアを決める平野歩夢=張家口(共同)

 競技開始早々、観衆の度肝を抜いた。9日のスノーボード男子ハーフパイプ予選。1番滑走の平野歩夢(TOKIOインカラミ)は最初の試技で87.25点の高得点をたたき出すと、2回目には93.25点を記録。「(予選突破は)大前提なので」と、貫禄を感じさせる首位通過だった。

 今季のワールドカップ(W杯)開幕時点は「(雪上で)滑っている時間はかなり少ない」と、スケートボードに挑んだ東京五輪の1年延期による影響を示していたが、杞憂(きゆう)だった。

 予選1回目を終えて2位。構成の難度を上げた2回目は斜め軸に縦2回転、横4回転する「ダブルコーク1440」の連続技など高さのある技を次々成功させて首位を奪取した。着地にミスがあったが「ファイナルで修正して合わせる」と冷静だった。

 決勝には、前回平昌(ピョンチャン)大会で平野歩を上回って金メダルを獲得したショーン・ホワイト(米国)らも進んだ。予選で平野歩は斜め軸に縦3回転、横4回転する大技「トリプルコーク1440」を温存したが、決勝では「チャンスは3回ある。仕上がっている」と挑戦を示唆した。今大会限りで現役を退くホワイトを前に、自身が世界で初めて成功させた大技を決め、世代交代を実現できるか。(中国・張家口=本社報道部・折笠善昭)

 小学生時代に支援、南郷から「金」祈る

 「気分はこれまでの人生の中で最高潮。金メダル獲得を南郷から祈っている」。南会津町の南郷スキー場などで小学生時代の平野歩夢を支援していた同町の酒井喜憲さん(75)は、気持ちを高ぶらせた。

 同スキー場の屋外でテレビ観戦した酒井さんは、平野歩の堂々の滑りに「(歩夢は)技を温存している。決勝はすごい戦いになると思う。彼なら金を取れる」とエールを送った。

 海祝「まだ点数出せる」

 小学生時代の平野歩夢が県内のスキー場で基礎を養っていた際に、一緒に訪れていたという弟の平野海祝(かいしゅう)(日大)も、9位で決勝へ駒を進めた。

 兄弟同時の五輪出場に「切磋琢磨(せっさたくま)して、やっと2人でここ(五輪)に出ることができた」と喜びをかみしめた。

 競技中に着用するイヤホンが壊れ、先に試技を終えた兄から借りて滑ったことを明かし、「決勝でもやりたい滑りをする。まだまだ点数は出せる」と意気込んだ。

おすすめPickup!ニュースの『玉手箱』

過密日程でも「攻撃の質上げる」 いわきFC、28日アウェーで栃木戦