被災住民、最後の灯籠流し 相馬・原釜尾浜、700基に鎮魂の思い

 
慰霊の思いを込めて船上から灯籠を放つ住民ら

 東日本大震災の津波で被災した相馬市原釜尾浜地区の住民らによる最後の灯籠流しが30日、同市の松川浦漁港で行われた。住民らは700基の灯籠を海に放ち、鎮魂の思いを込めた。

 灯籠には「震災物故者安らかに」などとメッセージが書き込まれた。読経の中、漁船から放たれた灯籠は波間を漂い、住民らは犠牲者に心を寄せ、古里の復興を誓った。会場では、真言宗豊山(ぶざん)派の青年僧侶が力強い太鼓の演奏を響かせ、慰霊のための花火も打ち上げられた。

 灯籠流しは2011年8月に始まり、新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの開催となった今回、10回の節目に併せて幕を閉じる。運営を担ってきた住民組織「東部再起の会」も解散する。立谷幸一実行委員長(70)は「協力してくれた方々にお礼を言いたい。灯籠流しは終わっても、これからも犠牲者に手を合わせ続ける」と話した。