遠藤智広野町長に現状と課題聞く 『若い世代』が住みたい町に

 
「若い世代が住みたいと思えるまちづくりを進める」と話す遠藤町長

 広野町の遠藤智町長に緊急時避難準備区域解除から9年を迎えた町の現状と課題を聞いた。

 ―復興の現状は。
 「JR広野駅を中心に津波被害の大きかった駅東側地区では(オフィスビルや住宅など)新たな街並みが形成された。今後も新しい住宅地の造成や駅舎の再整備、駅西側にローターリーを設けるなど完成形に向けて力を注ぐ」

 ―新しい住宅地を整備する意義は。
 「子育て世帯など200~300人を受け入れられる規模で、移住・定住の促進につながる。震災後、町内には企業の進出が相次ぎ、雇用の場の確保も進んでいる。子育て支援の充実にも取り組み、若い世代が『この町に住みたい』と思えるような環境を構築する」

 ―健康増進が課題だ。
 「町の健康寿命の指標『お達者度』は県平均を大きく下回っている。改善に向け町は『福祉のまちづくり』を宣言し、町内の医療機関や町社会福祉協議会と地域包括ケアに関する協定を結んだ。連携を強め今後5年をめどに県平均まで改善したい」

 ―震災から10年以降のまちづくりの展望を。
 「復旧・復興から創生へと力強く歩み、持続可能なまちづくりを実現したい。また、全町避難を経験した町として、浸水被害の予測などでAI(人工知能)を含め先端技術を活用しながら災害に強いまちづくりに取り組む」