宇宙への『横断幕』着々!福田小児童 川俣シルクに一針の思い

 
復興の歩みが記された横断幕の縫製作業に取り組む児童ら

 一般財団法人ワンアース(茨城県)が来年2月に国際宇宙ステーション(ISS)へと打ち上げる横断幕の縫製作業が27日、川俣町の福田小で行われた。同法人は「東北復興宇宙ミッション」と題し、東日本大震災から10年の節目に合わせて被災3県からのメッセージを宇宙に届けるプロジェクトを進めている。横断幕の作製はそのメーンとなる取り組みで、児童らが復興への思いを新たにしながら真剣に作業に取り組んだ。

 約7メートルの横断幕には、これまでの復興の歩みや、復興支援への感謝のメッセージなどを記す。震災後に再開した地域の祭りの様子や、子どもたちの笑顔、観光資源など各県の「復興のシンボル」を写した写真などで構成され、素材には「川俣シルク」を使用する。

 縫製作業には、同校の6年生14人が参加。児童らはワンアースの長谷川洋一代表理事や町職員らの手ほどきを受けながら、一針一針に心を込めて手縫いし、横断幕をつなぎ合わせた。

 参加した女子児童(11)は「多くの人が復興に向けてつながり、大きなプロジェクトになっていてすごいと思った。無事に(横断幕が)宇宙に届いてほしい」と話した。

 出来上がった横断幕は、ISSの日本の実験棟「きぼう」に張り出され、記されたメッセージを宇宙飛行士の野口聡一さんが読み上げる。その映像は来年3月11日に公開される。

 横断幕以外にも、花や農産物の種なども記念品として打ち上げる。横断幕や記念品は地球に帰還後、各地で活用され、震災の記憶と教訓の伝承や、産業創生などに役立てられる。