いわきで念願の語り部デビュー...小野さん「命守る行動考えて」

 
震災の経験や教訓を語る小野さん

 いわき市の会社員小野陽洋(あきひろ)さん(29)が15日、同市薄磯のいわき震災伝承みらい館で語り部としてデビューした。東日本大震災の経験を基に、来場者に「災害は場所も時間も選ばない。命を守る行動をすぐ取れるように普段から考えてほしい」と訴えかけた。

 小野さんは震災当時20歳で、同市平豊間地区の自宅の2階で津波にのみ込まれた。避難せずに自宅で被災した負い目を背負ってきたが、昨年の東日本台風(台風19号)で逃げ遅れによる犠牲者が出たことを受け、避難することの大切さを伝えようと語り部になる決意をした。

 小野さんの初講話に来場者約40人が耳を傾けた。小野さんは、地震後に自宅の2階から撮影した46秒間の津波の映像や被災した自宅の写真を交えながら当時の様子を説明。「災害が起きたら、誰とどこへどうやって逃げるのか。ほんの少しでいいので、災害時の対応を考える時間を持ってほしい」と呼び掛けた。

 語り部活動会員を募る

 いわき震災伝承みらい館は、震災の経験や教訓を後世に伝承するため、語り部活動に取り組む会員を募集している。問い合わせは同施設(電話0246・38・4894)へ。